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【任意後見契約とは?】認知症になる前に“家族”を後見人にするための賢い選択

相続(生前編)

高齢化社会が進むなかで、認知症を患う人の数も年々増加しています。内閣府の発表によると、2025年には65歳以上の高齢者のうちおよそ5人に1人が認知症になると推計されています。そうした背景から、今や誰にとっても「認知症とお金の管理」の問題は身近なテーマとなっています。

認知症になると、自分自身で財産管理や重要な契約を行う判断能力が失われるため、法的な手続きを経て「成年後見制度」による支援が必要になります。ただし、この成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の二つがあり、それぞれ特徴と使いどころが異なります。

この記事では、特に“家族を後見人にしたい”と考える方におすすめの「任意後見契約」について、その仕組み、手続きの流れ、実際のメリットまで詳しくご紹介いたします。


■ 認知症になると「法定後見」になるが、家族が選ばれるとは限らない

判断能力が低下したあとに後見制度を利用する場合、自動的に適用されるのが「法定後見制度」です。しかしこの制度の最大の特徴は、後見人が家庭裁判所によって選ばれるという点です。

実際の運用では、親族ではなく“第三者の弁護士や司法書士”が後見人として選任されるケースが非常に多くなっています。家族の希望が必ず通るわけではなく、場合によっては“全く知らない人”に自分や親の財産管理を任せなければならないという現実があります。

また、法定後見制度の下では、後見人の交代が基本的に認められず、報酬も毎月数万円程度かかることが多いため、本人や家族の意思や生活スタイルと合わないまま制度に従わざるを得ないという事態も起こりえます。


■ 「任意後見契約」を結んでおけば、家族を後見人に指定できる

このような問題を防ぐために有効なのが、「任意後見制度」です。任意後見は、本人がまだ判断能力を保っている間に、自分の意思で将来の後見人(=任意後見人)を選び、契約を交わしておく仕組みです。

この契約は必ず「公正証書」で作成し、公証役場で手続きを行う必要があります。任意後見人として指定できるのは家族だけでなく、信頼のおける知人や専門家も対象ですが、家族を選んでおくことで、“知らない第三者が突然財産の管理者になる”というリスクを回避できます。


■ 任意後見制度の手続きの流れ

以下が、任意後見契約から実際の運用開始までの一連の流れです。


① 判断能力があるうちに「任意後見契約」を公正証書で結ぶ

まず、本人が健康で判断能力があるうちに、公証役場で任意後見契約を締結します。後見人に選びたい相手(多くは子どもや配偶者)と一緒に契約内容を定め、公証人の面前で公正証書として作成されます。

契約では、将来の財産管理や介護・生活支援に関する希望も明文化することができます。例えば、「定期預金は手をつけない」「自宅は売却しない」などの希望を反映させることも可能です。


② 認知症などで判断能力が低下したら、「任意後見人」が登場

契約をしただけでは任意後見人の権限は発動されません。実際に判断能力が喪失したとき、つまり認知症などが進行して財産管理が必要になった段階で、後見がスタートします。


③ 家庭裁判所へ「後見監督人」の選任申立てを行う

判断能力の喪失が確認された場合には、医師の診断書などを添えて、家庭裁判所に「任意後見監督人の選任申立て」を行います。これは、任意後見人が適切に職務を遂行しているかをチェックするための監督機関として、裁判所が弁護士などを選任する制度です。


④ 裁判所が「任意後見監督人」を選び、任意後見契約が発効

監督人の選任が終わった段階で、いよいよ任意後見契約の効力が発動し、選ばれていた家族が「任意後見人」として財産管理や生活支援を正式に開始します。


■ 任意後見のメリットとは?

● 家族に財産管理を任せられる

家族を任意後見人に指定することで、親しみや信頼のある関係のまま生活を続けることができ、本人も安心して老後を過ごすことができます。

● 法定後見より費用を抑えられる

法定後見制度では、第三者専門職の報酬が月2〜5万円程度発生します。一方、任意後見では監督人にのみ報酬が必要であり、トータルコストは半額程度に抑えられることが一般的です。

● 本人の意思を尊重できる

契約時に希望する生活スタイルや財産の取り扱いを明記することができるため、「自分らしい生活」を続けやすくなります。


■ まとめ:任意後見契約は“備え”としての強力な選択肢

認知症などで判断能力を失った場合に備え、自分で後見人を選び、信頼できる人に財産や生活を託す「任意後見契約」は、老後の不安を和らげる非常に有効な手段です。

いざというときに「知らない人が後見人になる」「自由にお金が使えない」といった事態を避けるためにも、早い段階で家族や専門家と相談し、備えを進めておくことが重要です。




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